色を表す方法にはさまざまあります。

一番一般的なものが、色名(しきめい)で色を表す方法です。

でも商品を作るときに、この「色名」だけで取り扱うとなると

結構困ったことになります。

例えば、あなたが「空色」といった時、

ある人は、

こんな鮮やかで濃い青を思うかもしれないし、

またある人は、

もう少し明るく、やや緑みのある青を思うかもしれません。

またある人は、

こんな明るいクリアな青を思うかもしれません。

でもこれすべて空の色つまり「空色」です。

そう、何が言いたいかというと、

言葉で「空色」と伝えると

聞いた人のイメージで、色々な「空色」があるということです。

そして製品として色を取り扱うとき、これではやっぱり困るわけです。

つまり、

商品のデザインする人、色を作る人、作った色を管理する人が

それぞれ違う色を勝手に思ってしまうと、

最初に決めた商品の色が、最終的に出来上がったとき全然違う色になっている!

さらに

同じ商品なのに、2回目に買った時、1回目と違う色になっている!

なんてことになるので、それはやっぱり困るわけです…。

つまり、誰に伝えても同じ色がイメージできる方法が必要になります

そこで、

色を記号や数字を使って表現する、表色系(ひょうしょくけい)というものが生まれました。

日本には、AFT3級で勉強したPCCS(日本色研配色体系)もあります。

この表色系は、トーンがあるので、色をイメージするのにとても便利であるのと

色を感覚ではなく、色を系統的・体形的に理解する手段としてとても便利なので

AFTでは色を理解する手段としてまず3級の最初にPCCSを覚えることになります。

しかし、色の仕事では、色の表示がマンセル表色系ということが

実はとても多いのです…。

なぜなら、JIS(日本産業規格)でマンセル表色系が取り入れられているので、

例えば、色々な色見本帳などは、マンセル表色系で色表示が書かれていたりするわけです。

こういう色見本などでは、マンセル表色系で表示されることが多いのです。

 

つまり例えば、この色は「5R 4/14」です。とかが普通にあるわけです。

そして色の仕事のたび「「5R 4/14」って何?」とかやってられないわけです。

そう「5R 4/14」といわれたら

こんな感じの「鮮やかな赤」だよね…と

マンセル表色系の色表示で具体的に色がイメージできないと仕事になりませんよ!

ということなんです。

なので、2級でマンセル表色系について学ぶ必要があるわけです。

なお、こちらの内容は色彩検定2級公式テキストに沿ってご説明しています。実際の色については正確に理解するために、色彩検定公式2級テキストのマンセルシステムの内容p34~40を参照しながら確認することをお勧めします。

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マンセル表色系

アメリカで開発されたマンセルシステムは、上記で書いたようにJIS(日本産業規格)

でも取り入れられているほど、産業界ではとても重要な表色系です。

国際的にも通用する色の表示方法の一つで、色を扱う上ではとても重要になるため、

その特色を理解するとともに、活用方法も理解することが大切です。

1級2次試験でも出題される可能性も高いので、1級2次試験を受ける人は改めて理解しておくことが大切です。

カラーコーディネーター 涼子カラーコーディネーター 涼子

マンセル表色系を理解するときは、必ずPCCSと同じ点、違う点を比較し、さらにはPCCSに置き換えられるようにすることを目標に勉強することがポイントです。

色彩検定 勉強方法 顕色系と混色系

マンセル表色系を理解する前に表色系とは何かについて理解しましょう。

表色系は大きく顕色系(けんしょくけい)と混色系(こんしょくけい)の2種類に分けられます。

それぞれの特徴を理解しましょう。

顕色系(けんしょくけい)…
  1. カラーオーダシステムといわれている
  2. 等しく感じられる間隔となるよう区分した表色系のこと
  3. 色票で色を表示することが出来る(物体の色表示に使用できる)
  4. 代表的なものにマンセル表色系やPCCSなどがある
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顕色系の2番目の特徴である、「等しく感じられる間隔となるよう区分にした」ということがとても大切で、つまり色の物差しになるという意味で色を測ることができますよ、ということです。

混色系(こんしょくけい)…
  1. 混色の原理を用いて色を表示するもの
  2. 物体の色だけではなく、光の色の表示もできる
  3. 代表的なものにXYZ表色系がある 
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XYZ表色系は色彩検定1級で勉強する表色系です

表色系を理解するとき、以下のポイントを理解するようにしましょう。

  1. 顕色系か、混色系か。
  2. どこの国の誰が作ったのか。
  3. どんな特徴があるのか(どんなことに特化した表色系か)。
  4. 色の三属性の考え方、またその成り立ち。
  5. 色の三属性の表示方法とPCCSとの変換の特徴について
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5.については具体的に色がイメージできるようにするための大切なポイントです。

試験対策としては、以上の5点が問われることが多いので、理解したかどうかをチェックできると良いですね。

マンセル表色系

考案者…マンセル Albert H. Munsell(1858~1918)

アメリカの画家であり、美術教育家であったマンセルが色を系統的に整理するために考案された。

体系の種類… 顕色系(けんしょくけい)→色相・明度・彩度のどの属性についても、見た目が均等になるように標準化された表色系(カラーオーダシステム)

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顕色系(けんしょくけい)は色票で色を表示することが出来ることも特徴になります。

マンセル表色系の特徴

1.JIS(日本産業規格)の色の表示で採用されている[色の表示方法ー三属性による表示]

2.修正マンセル表色系→マンセル表色系の原型をアメリカ光学会(OSA)が修正して作った体系

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マンセル表色系の原型は、光学的な測定値と色の三属性との関係にばらつきがあったため、アメリカ光学会(OSA)が実験して、すべてに色の差が均等な感覚になるように見直しました。現在では「マンセル表色系」といえば「修正マンセル表色系」のことを指します。

マンセル表色系の色相

マンセル表色系では色相をHue(ヒュー)といいます。

  1. 原色(一次色)→基本色の5色相 Red(赤) Yellow(黄) Green(緑) Blue(青) Purple(紫)→これらの頭文字をとって R、Y、G、B、Pと表示
  2. 中間色相の5色相→YR(黄赤)、GY(黄緑)、BG(青緑)PB(青紫)RP(赤紫)が加わる。 原色と中間色相を加えて10に色相記号を当てている
  3. 10色相それぞれを10等分にして、マンセル色相は合計100色相とする
  4. 色相のアルファベットの前に数字(0より大きく10以下)を付けて微妙な色相違いを表す
  5. 5の数字のついた色相がその色記号であらわされる色の代表色相
  6. 時計まわりに数字が大きくなる
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マンセル表色系では「橙」を「黄赤」と表現します。また、中間色相の覚え方は、色相環を時計回りで考えて、先のアルファベットが前に来ます。例)GY。日本語で覚えると黄緑はYGとなり、マンセル色相の表示が正しく覚えられません。黄緑以外では、PB(青紫)が日本語と英語が逆になっています。

マンセル色相の表示の仕方

赤(R)を10分割し、1R、2R、…10Rと表します。

・10R=0YRですが、0を使った表示はしないので、10Rと表します。

・5Rが赤の代表色相になります。(10等分した中心の色)代表色相とは、赤なら最も赤らしい赤というようなその色相を代表する色になります。

・5よりも数字が小さいときは、左隣りの赤紫(RP)に寄っているので「紫みの赤」になる→数字が小さくなるほど、紫みが強くなります。

・5よりも数字が大きいときは、右隣りの黄赤(YR)に寄っているので「黄みの赤」になる→数字が大きくなるほど、黄みが強くなります。

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マンセル表色系の色相を理解するポイントは、色相環での10色相の位置と順番を理解しましょう。マンセル色相環では、赤が真上で、時計回りに黄赤、黄、黄緑、緑、青緑、青、青紫、紫、赤紫と並びます。そして、それぞれの色相の5が中心の色相ということも重要です。5より大きい、もしくは小さくなることで、色みがどのように変化するかが想像できると、マンセル表色系の色相が読み取れるようになります。

※注意:5Bについて

青の代表色相となる5Bは、PCCSやJIS系統色名では「緑みの青」に該当します。(PCCSの色相番号では16番)。逆にPCCSの最も青らしい青の中心色相は、マンセルではBの範囲から外れてPB(青紫)の範囲に位置しています。

このようにマンセル表色系マンセル表色系の色相を表す記号は、色名とあっていないことがあるため注意が必要です。

マンセル表色系の明度

マンセル表色系の明度は、Value(バリュー)といい、明度の段階を表す数字で表示されます。

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PCCSと同様に、明度の基準はグレイスケールが用いられます。

  1. 理想的な黒→0(100%光を吸収する色)~理想的な白→10(100%光を反射する色)
  2. 理想的な黒0~理想的な白10の間に明るさが均等に変化する9色の無彩色(グレイ)を挿入
  3. 現実の黒(色票の黒):明度1.0~現実の白(色票の白):明度9.5
  4. 明度段階はさらに細かく小数点を含めた数字で表すことも可能
  5. 有彩色の明度もグレイスケールの段階と明るさを比較することで決定できる
  6. 色相によって最高彩度の色の明度は異なる

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5Y(黄)の最高彩度の明度と5PB(青紫)の最高彩度の明度(明るさ)は違いますね。5Yのほうが明るく、5PBのほうが暗くなります。

マンセル表色系の彩度

マンセル表色系の彩度はChroma(クロマ)といいます。Value(バリュー)と同様に小数点を含めた数字で表されます。

  1. 小数点を含めた数字で表されます
  2. 無彩色の数値は0
  3. 数字が大きくなるにつれて彩度が高くなる
  4. 無彩色からどれだけ離れているかを表している段階
  5. Chromaの段階は実際に安定して再現できる範囲だけ色票化されている
  6. 各色相の最高彩度段階の値は、色相によって異なる→例)5Rの最高彩度は14だが、5BGの最高彩度は8
  7. 同じ彩度の色であっても色相が異なると鮮やかさ感が異なることがある→例)5Rの彩度8と5BGの彩度8は同じ鮮やかさに感じられない

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5Rと5BGでは彩度が同じでも鮮やかさ感が違って5Rのほうが彩度が高くみえます。

マンセルの色表示方法

有彩色…

「色相 明度/彩度」 「H V/C」(色の三属性を表す英名の頭文字をとっている)

明度と彩度の間を/(スラッシュ)で区切り、「色相 明度/彩度」と連記する。例)最も赤らしい赤 5R 4/14(ごあーる よんのじゅうよん)

無彩色…

N 明度値

  1. NはNeutral(ニュートラル)の頭文字で中立・中性を意味する
  2. 色相が無いため、N(斜体)の後に明度の数値を連記して表示する
  3. 彩度は0だが、特に表示はしない  例)中明度の無彩色の色表示 N5(えぬ ご)

色立体

色相によって最高彩度の色の明度や彩度が異なるため、非対称で複雑な形となる

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マンセル表色系は、色相により、明度や彩度が異なり、赤は最高彩度が高い、青緑は低い、黄色は明度が高いなどの特徴があるため、色立体は非対称で複雑な形になります。マンセルはこれを「マンセルツリー(色彩の樹)」と呼んでいました。

  1. 中心軸無彩色の明度段階で頂点が白、最下部が黒となる→中心軸を彩度0とし、各純色までの彩度段階が色相事に外に向かって放射上に伸びている
  2. 軸の周り等色相面が色相環の順に並んでいる→色相によって最高彩度の色の明度や彩度が異なるため、等色相面の形も色相によって異なる
  3. 中心軸に対して垂直に交わるように水平に切ると等明度面(明度が等しい面)があらわれる。

マンセル表色系の色票集

・色相:40色相 ・明度:1間隔(1,2,3…) ・彩度:2間隔(2,4,6…)

「Munsell Book of Color」マンセルブックオブカラー…約1600色

光沢版と無光沢版がある…光沢版はカラーチップ(色票)が取り外せ、直接当てて測色できるので利便性が高い

JIS標準色票…2163色…光沢版のみ発光

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

表色系はの目的は、記録や伝達するための基準になるので、その表色系の表示で、色が想像できるようになることが最終的にその表色系を理解できた目安になります。

例えば、PCCSで「v2」と表示されたら、「鮮やかな赤」とイメージできますね。3級でPCCSを理解できていたら、マンセル表色系をPCCSに変換して、その色がわかるようになると色がイメージしやすくなるので、

例えば、マンセル表示 4R 4/14 は、PCCSでの近似色はv2になるので、

その色はと想像できると、

マンセル表色系の色表示で色がイメージできるようになります。

(近似色というのは、マンセル表色系とPCCSそれぞれの基準が違うので、すべての色が全く同じ色に変換できるというわけではないです。)

AFT2級の試験問題でマンセル表色系は必ず出題される問題ですので、まずは色の三属性の表し方をきちんと理解し、ぜひ、マンセル表色系の色表示で色がイメージできるようになることを目標に頑張ってみてください。